令和8年第3回加古川市議会臨時会では、認定こども園の改修工事、消防団員の補償制度の見直し、消防車両の更新、河川敷整備、旧上荘小学校の解体工事、学校で使用するソフトウェアライセンスの更新など、市民生活に関わる重要な議案が審議されました。
議案書だけでは分かりにくい部分も、委員会では工事の内容や事業の目的、今後の運用などについて詳しい質疑が行われています。
今回は、その内容も交えながら、主な議案について分かりやすく紹介します。
- 施設の沿革
- 契約内容
- 主な改修内容
- 💡 豆知識|市内で瓦屋根を採用している公共施設は3施設
- 葬祭補償額を引き上げ
- 消防団員共済掛金
- 💡 豆知識|消防団員は条例定数より57人少ない
- 救助工作車を更新
- 契約内容
- 令和7年の消防出動状況
- その他出動とは
- 💡 豆知識|「PA連携」とは?
- 救助工作車の主な装備
- 赤色警光灯について
- 消防車両の更新目安
- 更新する理由
- 教員はどのような場面で利用している?
- 契約内容
- なぜ議会で議決するの?
- 契約内容
- 工事はなぜ冬に行うの?
- 主な整備内容
- 駐車場の整備
- 芝生広場
- トイレ施設
- 💡 豆知識|市内初となる分離型ファミリー用トイレ
- 契約内容
- 防火水槽は撤去へ
- 約60年間使用された防火水槽
- 💡 豆知識|防火水槽はどのように撤去する?
- エアコンは再利用
- 💡豆知識 橋の点検で出てくる「C2」とは?
1 しかたこども園改修工事(議案第70号)
施設の沿革
しかたこども園は、平成14年春に「しかた保育園」と「しかた幼稚園」を併設した施設として整備されました。
その後、平成18年に名称を変更し、平成29年には幼保連携型認定こども園へ移行しています。
建築から約24年が経過し、屋根や防水設備など施設全体の老朽化が進んでいることから、今回、中規模改修工事を実施します。
契約内容
今回の契約内容は次のとおりです。
- 契約金額:1億9,943万円
- 契約相手:株式会社松本工務店
施設全体を建て替えるのではなく、老朽化した部分を中心に改修し、今後も安全に利用できるよう整備します。
主な改修内容
今回の工事では、建物の長寿命化と安全性の向上を目的として、屋根や防水設備を中心に改修が行われます。
陸屋根の防水部分については、既存の防水層を撤去したうえで、新たにシート防水を施工します。新設するシート防水の保証期間は10年間です。
また、瓦屋根部分については雨水を排水する谷樋(たにどい)も更新します。工事では周辺の瓦を一時的に取り外し、施工完了後に元どおり復旧します。
施設内の照明設備はLED照明へ更新し、省エネルギー化と維持管理費の削減を図ります。
なお、空調設備・電気設備の配管・配線は原則更新せず、必要最小限の工事にとどめる計画です。
💡 豆知識|市内で瓦屋根を採用している公共施設は3施設
現在、市内で瓦屋根を有する公共施設は次の3施設です。
- 加古川北防災ふれあいセンター(上荘町国包)
- 加古川市立武道館(日岡山公園内)
- しかたこども園(洋瓦)
2 消防団員等公務災害補償条例の一部改正(議案第69号)
今回の条例改正は、非常勤消防団員等に係る損害補償基準を定める政令の改正に伴い、加古川市の条例を改正するものです。
消防団員は、普段は会社員や自営業などとして働きながら、火災や風水害などの災害時には地域防災の最前線で活動しています。
万が一、公務中に事故などで亡くなられた場合には、遺族等に対して葬祭補償が支給されます。
葬祭補償額を引き上げ
今回の改正では、葬祭補償の定額部分が引き上げられます。
- 改正前:31万5,000円
- 改正後:33万円
実際の葬祭補償額は、次の計算式で算定されます。
33万円+補償基礎額×30
補償基礎額は、消防団員の階級や勤続年数などに応じて決められているため、1万円から1万5千円の範囲内で設定されています。
今回の改正は、国の政令に基づき、葬祭補償の水準を見直すものです。
消防団員共済掛金
非常備消防に係る消防団員共済掛金等の予算額は、令和6年度から令和8年度まで毎年約2,623万4,000円となっています。
また、令和6年度の決算額は2,623万3,073円でした。
消防団員共済制度は、公務災害補償や退職報償金など、消防団員が安心して活動するための重要な制度となっています。
💡 豆知識|消防団員は条例定数より57人少ない
加古川市の消防団員の条例定数は1,200人です。
これに対し、令和8年現在の団員数は1,143人となっており、条例定数より57人少ない状況です。
3 救助工作車の購入(議案第74号)
救助工作車を更新
今回の議案は、加古川市中央消防署に配備されている救助工作車を更新するものです。
現在の車両は、購入から14年が経過しており、車両本体だけでなく、搭載している救助資器材も老朽化していることから更新を行います。
契約内容
- 契約方法:14社による指名競争入札
- 契約金額:約2億3958万円
- 契約相手:キンパイ商事株式会社
救助工作車は、多くの特殊資器材を搭載するため、消防車両の中でも特に高額な車両です。
令和7年の消防出動状況
加古川市消防本部の令和7年中の主な出動件数は次のとおりです。
| 出動内容 | 件数 |
|---|---|
| 火災出動 | 95件 |
| 救助出動 | 393件 |
| 救急出動(PA連携) | 19,251件 |
| その他出動 | 1,206件 |
年間約2万件の出動があり、その約9割を救急出動が占めています。
その他出動とは
「その他出動」には、火災や救急以外にもさまざまな消防活動が含まれます。
主な内容は次のとおりです。
- 危険物の排除
- 燃焼物の排除
- 火災警戒
- 水防活動
- 各種調査
- 救急支援
- PA連携
- その他消防活動
消防の仕事は火災を消すだけではなく、市民の安全を守るため幅広い業務を担っています。
💡 豆知識|「PA連携」とは?
PA連携とは、消防ポンプ車(Pump)と救急車(Ambulance)が同時に出動する仕組みです。
心肺停止など一刻を争う救急事案では、消防隊が救急隊より早く現場へ到着した場合、AEDの使用や心肺蘇生などの応急処置を開始します。
また、建物の上階から傷病者を搬送する場合や、多くの人員が必要となる現場では、消防隊が救急隊の活動を支援します。
消防隊と救急隊が連携することで、迅速な救命活動と安全な搬送につながっています。
救助工作車の主な装備
救助工作車には、人命救助のためのさまざまな資器材が搭載されています。
- クレーン
- ウインチ
- 救助資器材
- 切断・破壊器具
- 照明器具
- その他の救助工作用装備
交通事故や建物倒壊、自然災害など、さまざまな現場で活躍する特殊車両です。
赤色警光灯について
委員会では、聴覚障害者への配慮として、発光パターンを工夫した赤色警光灯について質疑がありました。
これに対し市は、警察車両とは異なり、消防車両には全国統一の規格がないため、従来どおりの赤色警光灯を採用し、発光パターンなどによって車両を識別するとの説明を行いました。
消防車両の更新目安
| 車種 | 更新目安 | 参考価格 |
|---|---|---|
| ポンプ車 | 約16年 | 約5,000万~7,000万円 |
| 救急車 | 約16年 | 約4,000万円 |
| 救助工作車 | 約16年 | 約2億円超 |
4 ソフトウェアライセンス売買契約(議案第75号)
今回の議案は、市立学校の教員が使用している事務用パソコンのOffice製品を更新するためのソフトウェアライセンス売買契約です。
現在使用しているOffice製品のサポートが令和8年10月13日に終了することから、新たにOffice 2024へ更新します。
更新する理由
Office製品は、教員が日々の校務を行うために欠かせないソフトウェアです。
しかし、サポート期間が終了すると、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、情報漏えいやコンピューターウイルスなどのリスクが高まります。
そのため、安全に学校業務を継続できるよう、新しいOfficeへ更新します。
教員はどのような場面で利用している?
教員はOffice製品を活用し、日常的にさまざまな業務を行っています。
主な用途は次のとおりです。
- 日誌の作成
- テストや教材の作成
- 授業準備
- 情報収集
- 校務事務
授業だけでなく、学校運営全体を支える重要なソフトウェアとなっています。
契約内容
今回の契約内容は次のとおりです。
- 対象端末:1,550台
- 契約金額:4,092万円
- 契約方法:指名競争入札
なぜ議会で議決するの?
委員会では、「ソフトウェアの購入がなぜ議案になるのか」という点についても説明がありました。
加古川市では、消耗品や動産の買入れが2,000万円以上となる場合、地方自治法などに基づき議会の議決が必要になります。
今回は契約金額が4,092万円となるため、市議会に議案として提出されました。
5 加古川河川敷緑地・河原地区整備工事(その3)(議案第71号)
今回の議案は、加古川市かわまちづくり計画に基づき、河原地区の駐車場や芝生広場などを整備する工事です。
かわまちづくり事業は、河川空間を市民の憩いの場や交流の場として活用することを目的に、令和6年度から進められています。
契約内容
今回の契約内容は次のとおりです。
- 契約金額:2億7,406万5,000円
- 契約相手:株式会社モノポリス森下組
今回の工事では、駐車場や芝生広場だけでなく、排水施設や園路、トイレなども一体的に整備します。
工事はなぜ冬に行うの?
河川区域では、大雨などによる増水の影響を受けやすいため、工事時期にも配慮が必要です。
そのため、工事は河川の出水期を避け、原則として11月から翌年5月まで施工されます。
主な整備内容
今回整備される施設は次のとおりです。
- 駐車場
- 芝生広場
- 排水施設
- 園路
- トイレ施設
河川敷をイベントやレクリエーションなど、多目的に活用できるよう整備を進めます。
駐車場の整備
駐車場は、通常利用する駐車場と、大規模イベント時などに利用する臨時駐車場に分けて整備します。
通常駐車場
通常駐車場は舗装された駐車場として整備し、約60台分を確保します。
臨時駐車場
臨時駐車場は約300台分を整備します。
アスファルト舗装ではなく、芝生の上にプラスチック製の保護材を設置した緑化駐車場となります。
普段は芝生広場として利用し、イベント開催時には駐車場として活用できる仕組みです。
芝生広場
芝生広場は、利用しやすい地盤となるよう造成を行います。
また、雨が降った際に水たまりができないよう、適切な排水勾配を設け、雨水が滞留しない構造とします。
トイレ施設
河川区域内には、
- 多目的トイレ
- ファミリー用トイレ(幼児用小便器等を搭載)
を整備する予定です。
💡 豆知識|市内初となる分離型ファミリー用トイレ
今回整備されるファミリー用トイレは、多目的トイレとは別に設置される予定です。
このように、多目的トイレとファミリー用トイレを分けて整備するのは、加古川市内では初めてとなります。
多目的トイレは車いす利用者や介助が必要な方などの利用を想定しています。
一方、ファミリー用トイレは、小さな子ども連れの家族が利用しやすい設備として整備されます。
利用目的に応じてトイレを分けることで、多目的トイレへの利用集中を防ぎ、より多くの人が快適に利用できる環境づくりが期待されます。
6 旧上荘小学校解体工事(議案第72号)
今回の議案は、旧上荘小学校の校舎などを解体するための工事契約です。
学校は閉校となりましたが、建物の老朽化が進んでいることから、安全面や今後の土地利用を考慮し、解体工事を実施します。
契約内容
今回の契約内容は次のとおりです。
- 契約金額:7億2,380万円
- 契約相手:前川建設株式会社
校舎などの建物を解体するだけでなく、防火水槽や受変電設備の撤去、アスベストの除去なども含まれる大規模な工事となっています。
防火水槽は撤去へ
旧上荘小学校の敷地内には、防火水槽が設置されています。
この防火水槽は、学校建設時に消防との協議を経て設置されたものと考えられていますが、今回の解体工事にあたり消防署と協議した結果、防火水槽を残すことは必須条件ではないと判断されました。
そのため、防火水槽も今回の解体工事に合わせて撤去する方針となっています。
約60年間使用された防火水槽
防火水槽は設置から約60年が経過しています。
一般的な減価償却上の耐用年数は約50年とされており、それを超えて長期間使用されてきました。
老朽化や今後の維持管理、土地利用などを踏まえ、撤去することになりました。
💡 豆知識|防火水槽はどのように撤去する?
委員会では、防火水槽の撤去方法についても質問がありました。
現在、次の3つの方法が検討されています。
① 完全撤去
防火水槽をすべて掘り起こし、撤去した後に土地を埋め戻して原状回復する方法です。
地下に構造物が残らないため、将来の土地利用がしやすくなりますが、工事規模は最も大きくなります。
② 一部を残して埋め戻す
防火水槽の上部を撤去し、地下部分の一部を残したまま内部を土などで埋め戻す方法です。
完全撤去より工事量を抑えられる可能性があります。
③ 内部を充填して閉鎖する
防火水槽の内部にウレタンなどの充填材を入れ、空洞をなくして閉鎖する方法です。
掘削量を少なくできますが、地下には構造物が残ることになります。
最終的には、安全性や工事費、今後の土地利用などを踏まえて決定される予定です。
エアコンは再利用
普通教室に設置されているエアコンは、令和元年度に設置された比較的新しい設備です。
まだ十分使用できることから廃棄せず、中学校の特別教室へ移設して再利用する予定です。
使用可能な設備を有効活用することで、新たな購入費用を抑えるとともに、資源の有効利用にもつながります。
7 野口橋補修工事(野口小学校横 JR山陽本線 東加古川駅~加古川駅間)(議案第73号)
契約額:3億5,415万2,000円
橋梁長寿命化修繕計画に基づき、JR山陽本線をまたぐ野口橋の補修工事を実施します。
鉄道の安全運行を確保するため、保安上の措置が必要であることから、西日本旅客鉄道株式会社と委託契約を締結しました。
野口橋の概要
- 1970年代に建設
- 平成27年1月に野口橋を含む県道野口尾上線が兵庫県から加古川市へ移管
移管時の状況
県から市へ移管された当時は、道路管理者が必要な点検を実施し、大規模な補修を必要としない状態で引き継がれました。
ただし、平成27年度当時は現在の橋梁点検基準による健全性評価は導入されておらず、現在の基準での評価は行われていませんでした。
今後についても、道路を移管する際に補修したうえで引き継ぐ運用となるかは未定とされております。このままでは、補修に要した費用を100%市が負担することとなり、県との調整が今後の課題です。
JR線の上にある橋だからこそ優先的に補修
野口橋はJR山陽本線の上を通る橋です。
万が一、コンクリート片などが線路へ落下すると鉄道運行に大きな影響を及ぼすため、小さな損傷でも優先的に補修を行っています。
令和3年度の点検では、部材の一部が「C2」と判定されました。
このため、
- ひび割れへの樹脂注入
- 欠損部へのポリマーセメントによる断面修復
- 底面・側面への剥落防止材の施工
などの補修を実施し、安全性の確保と橋の長寿命化を図っています。
令和7年度予算
令和7年度は、野口尾上線野口橋の補修に1,500万円を計上しました。
執行額は1,382万150円となる見込みで、令和8年9月に令和7年度決算として報告される予定です。
💡豆知識 橋の点検で出てくる「C2」とは?
野口橋は令和3年度の点検で「C2」と判定されました。
「C2」と聞くと危険な橋という印象を受けるかもしれませんが、すぐに通行止めが必要な状態ではありません。
橋は通常どおり利用できますが、一部に傷みが見られるため、損傷が大きくなる前に補修を行う必要がある状態を表しています。
橋の点検では、「橋全体の健全性」と「部材ごとの対策区分」の2つの評価があります。
橋全体の健全性
Ⅰ:健全
Ⅱ:予防保全段階
Ⅲ:早期措置段階
Ⅳ:緊急措置段階
一方、「C2」は橋全体ではなく、部材ごとの対策区分です。
A:対策不要
B:経過観察
C1:計画的に補修
C2:早めの補修が必要
E1・E2:応急・緊急措置が必要
野口橋では、「C2」と判定された部材に対し、
- ひび割れへの樹脂注入
- 欠損部のポリマーセメント補修
- 橋の底面・側面への剥落防止材の施工
などを実施しています。




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